ちいさな工房の毎日を綴ります。
題して
「ふつうの木工家?のふつうの日々」

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2004年12月16日

納品紀行

本州を出るまでの夜通しの行程をすべて柿花さんに運転していただき、その間、休息をとらせていただけた。
一刻でも早く、到着させてくれようと、かなり無理をしてクルマを走らせてくださったことは、うたた寝しながらでも感じられる。
自分よりひとまわり以上年上の方に、こんなことをしていただくのは、本当に申し訳ないと感謝。
かなり遅れを挽回して関門橋を越えたときには、なんともいえない感慨であった。
九州に入り、運転を交代し、とにかく一目散でクルマを走らせる。
高速を降り、一般道にはいってからの距離もかなりあり、結局それが命取りであった。
初めて見る天草の島々の景色を見る気持ち的な余裕などことさらないのだが、それでも独特の地形のつくり出す景観には、目を奪われてしまう。
いよいよお客さまが出発される30分前に確認の連絡をとるが、こちらはどうも間に合わない位置にいるらしい。
もう、お詫びするしか発する言葉が浮かばない。
後30分、お客さまにとってもぎりぎりの時間までお待ちいただけることになったが、それでも現在地から推測してぎりぎり瀬戸際である。
片側一車線、数台の車列ができて、追い越すこともかなわない。
時を運に任せながら、市街地を抜け、前のクルマが無くなり、一気にスパートをかける。
地図的に、もう少しというところで、すれ違ったクルマの運転席で誰かが手を降ったように見えた。
すれ違って、もしやと思い振り返るが、そのクルマは行きすぎてしまった。
こちらも焦りの為、対向車をしっかり見る余裕も、行きすぎてしまったものを追う余裕もないので、そのまま進路を進んで行った。
どうやらここというところまで着き、連絡を入れてみると、ひと脚違いの行き違いになってしまった。
もはや出る言葉もなく、力が抜けてしまった。
己の仕業とはいえ、12月に入ってこのかた、やってきたことがすべて無に帰してしまったような感情に襲われる。
一度のみならず、二度までご慈悲をいただいたお客さまに対して、またもやの裏切りとなり、申し訳なさでいたたまれなくなってしまった。
しかしせっかくここまで来て落ち込んでいても仕方がない、奥様のお母様がいらっしゃったので、事情を話し、仕上の作業をさせていただく。
お昼には、近くの美味しいお魚を食べさせてくれるお店に連れていってくださり、天草で獲れた新鮮なお刺身が一杯の定食をごちそうしてくださった。
帰りには、お腹がすくだろうとおにぎりやミカンまでわざわざご用意してくださった。
人情に生かされている。本当にそう感じる。
いくところまでいってしまい、もう時間に追われることもないので、心を落ち着かせて仕上をし、お部屋にお納めする。
すべてを棚にあげれば、自画自賛ながら、なかなかの納まりになったと思う。
しかし、二人とも体力的に一杯一杯の中で、あの広い板を運び込むのは、さすがに辛かった。
帰りは、少し余裕があるだろうとフェリーに乗って楽をしようと思い、時間を調べると結構際どい時間であった。
今度は、フェリーの間に合うようにと、納め終わって一息とお茶を勧めてくださるのを丁重にお断りし、慌てて福岡の門司へクルマを向かわせた。
そんなときに限って、道を間違い、いつまでたっても島を出られないんじゃないかと不安にかられるが、高速の入り口についた時間から推測し、フェリーを断念し、クルマで帰ることになった。
柿花さんは、昨晩から寝ていないし、自分も一気に疲れが噴き出した中、まだ800km近く走らなくてはいけない。
走らな帰れないし、そもそも帰らない訳にはいかない。
行きのこともあるので、帰りはしっかり運転しようと思うが、睡魔に襲われる度に、柿花さんに運転を変わってもらうことになり、結局、またほとんどの行程を運転していただくことになってしまった。
帰りは辿り着ければいいので、慌てること無く走り、結局こっちに着くまで十数時間かかったことになる。
判決待ちのままではあるが、とにかく今日はそんなとこ。

投稿者 KAKU : 2004年12月16日 23:59

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