ちいさな工房の毎日を綴ります。
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「ふつうの木工家?のふつうの日々」

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2009年07月29日

鏡越しの風景

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美容室の待合いに置かれるテーブルです。
ちいさなテーブルですが、いろいろと難産でした。

コスト的な制約もあって、店舗家具用の既製品のスチール脚とローコストの針葉樹合板をテーブルトップにセレクトした訳ですが、仕上げの粗い針葉樹合板をテーブルトップに研磨仕上げする手間時間を考えると、実際、微妙なところでした……。
ただ、このセレクトは、ローコストである以上に、針葉樹合板のベニアの厚みからくるソリッド感と大味のサーフェースが着色塗装仕上げにした時に独特の効果をもたらすと思い、ひとつの素材の可能性を試したかったということが大きかったのかもしれません。

慣れない顔料での濃色の着色塗装も手離れを悪くする一因でもありました。

ただ、そういった素材や技術的なことだけでなく、
無難という意識や既成概念から抜け出せず、クライアントが求める本質に気付くのに時間がかかりました。

今回、クライアントは、テーブルトップ側面の見え掛りの厚みに特にこだわられていました。

その理由は、

美容室のお客さまは、このテーブルに直接向かわれる時間より、カット椅子に座って、鏡越しに見ている時間のほうが長く、視点も必然的にその位置からになり、そこからの目線だと、どうしても側面の見え方が重要になるということでした。

常に鏡越しにお仕事をされている美容師さんならではの視点です。
ここでの自分の既成概念は、斜め上からの視点でした。

テーブルサイズのバランスから、若干厚すぎるのではないかと感じる厚み(24mm×3枚分なので、72mm)ですが、この厚みはクライアントの感を信じることにして、自分の仕事は、この厚みの板を重厚感と軽快感がせめぎあうカタチにすることに徹しました。

斜め上の視点と鏡越しの視点がクロスオーバーするテーパーカットがポイントになります。

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一見、カフェテーブルですが、
このテーブルの用途は、特別な視点からの風景の要素であり、そこから理由のあるカタチが産まれました。

納品の際に、カット椅子に座らせていただき、鏡越しにこのテーブルを見た時、本当に合点がいきました。
ひとつ勉強させていただきました。

ありがとうございましたの今日はそんなとこ。

<納品先>
美容室Hop-Young
大阪市港区南市岡3丁目2-23

投稿者 KAKU : 2009年07月29日 23:59

 

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