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2006年06月20日

ルーター選びのご相談

kinokoubou.comの掲示板への書込みをまとめてみました。




yamamo2a さん 2006年 05月 23日 00時 41分 38秒

 はじめて書き込みさせていただきます。
ルーター購入検討中の素人DIYerです。
 いろいろ検索していましたらこちらのサイトにたどりつき、拝読させていただきました。
 ぶしつけで申し訳ございませんがご教授お願いいたします。

 大型ビット(特に1/2インチ)を使いたいことと、テーブル設置することを考慮し テーブルにはプランジより固定ベースの方が安定してよいというサイトも目にしたので、当初はPorter-Cable 892を考えていました。また、手持ちで使わないこともないのでPorter-Cable 893にしようかと思っていました。
 しかし、修理や部品取り寄せ、さらに、電圧差によるパワーダウンを考えると国産のマキタ3612c に気持ちが移っています。(欲しい大型ビットの耐用回転数がMAX8000rpmなので電圧についてはPorter-Cableでも差し支えないかもしれませんが。モーター劣化も気になります。かといってトランスには手がとどきません。)

 マキタ3612cはプランジですのでテーブル設置においてはどうでしょうか?また、インチコレットチャック(コーン?)を扱っているサイトが少ししか見つけられませんでしたので紹介していただけないでしょうか。また、耐用回転数がMAX8000rpmのビット使用の場合やはりスピコンは必要でしょうか?

 Porter-Cable890はいくつかのサイトを見ると推薦している方がいたり、逆に不都合がある方がいたりもして迷ってしまいます。マキタ3612cについては不都合があるなどの文面も目にしていないのでこちらに決めようかと思っていたところ
掲示板の「某木工クラブのイチオシ機種なんか〜」が目にはいり、ほぼ決心できました。(私の勘違いですと振り出しにもどりますが)
 最終的には自分で決めるしかないのですが、アドバイスお願いいたします。





管理人@KAKU さん 2006年 05月 23日 12時 41分 56秒

>>yamamo2aさん
はじめまして、こんにちは。

早速ですが……、
まず、ポーターケーブルにつきましては、私ではちょっとわかりませんので、ここはよろしければamkさんにご解説おねがいしたいと思います。

マキタ3612cに関しましては、ユーザーの一人として参考程度になりますが、わかる範囲でお話しさせていただきます。

まず、修理や部品の取り寄せという安心感につきましては、やはり言ってもマキタですので、かなり安心かと思います。

テーブル設置につきましては、セッティング時に逆さにスプリングが効いてしまうので、持ち上げる際、また微調整で若干不自由なところがあります。
このあたりは、最近の書込みの話題の中で解決できる部品のお話がでておりますので、お手数ですがお目をお通しください。

>耐用回転数がMAX8000rpmのビット使用……
ということに関しては、まったく無責任に言わせていただけば、この場合の1000rpmぐらいの違いでしたら、左程気にされなくても大丈夫と思いますが、刃物の径によっても条件は変わってくることですし、基本的に用法を誤ると危険な工具のひとつですので、なんらかの検証か、メーカーへご確認されるほうが安心かと思いますがいかがでしょう。

インチスリーブとコレットは、ここで販売されているようですので、もしかしたらご存じかもしれませんが、一応アドレス貼っておきます。
http://www.kouguya.com/3612C.htm

あとは、amkさんはじめ皆さま方にバトンをお渡ししたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。





amk さん 2006年 05月 23日 12時 53分 25秒

>yamamo2a さん こんにちは
前回書いた内容については、もちろん個人的な価値観での評価なので、890も人によっては魅力のある機械だと思います
例えば、690ユーザーなどはそのまま拡張アイテムを引き継げると言う点などです
 690は当時としては優秀でしたので内外品ともにアクセサリー類は豊富で、890とはチャック・ベース等、殆どにおいて互換性があるので使用可能です
 他には、最新機能・安全機能が盛り込まれてますので、この辺りを重視される人には魅力ですね
私も精密と言う点で890をjeassEmのリフトで使っており、モーターだけなら何処のでも良い訳ですが、ポーターならリフトの選択枝も増える訳です

3612Cについては、そこが単体で買えるのなら、インチコレットはその探せたお店で購入されればどうですか?
 ネット店で表示されてるコレットの品番を言えばホームセンターでも取り寄せられますよ

 ビットの対応回転数については、電源から100Vカッチリ出ている訳でもないですし、集塵しながらとか電工ドラムが間に入れたりするとかなり落ちると思います
 3612CはMIN9000rpmなので、上記程度で許容範囲になるのではないでしょうか

プランジ型のテーブルとフリーハンドでの使い分けについては、モーター移動ほど楽ではありませんが、脱着が簡単なテーブルインサートプレートを付けておけば、そのまま安定の良い大型ベースプレートとしてフリーハンドでも重宝します
 プレートは後々の使い方や精度も左右される部分なので、その辺りのパーツには多少予算をかけられた方が良いです

ハンドルについてビットの交換性、移動性が悪いと言う意見もありますが、もともとのプランジ範囲の調整ナットと同じ使い方も可能で、面倒ならハンドルが無い場合と同じように手で移動させ、微調整が必要ならハンドルを使えば良いと思います
 ビット交換時のように大きく移動する場合は、ロックを上手く使い本体とハンドルを別に移動すると速いです

いずれにしてもすでに十分な知識をお持ちのようですし、私からはこれくらいで、、、





yamamo2a さん 2006年 05月 23日 15時 45分 29秒
>管理人@KAKU さん
>amk さん
 こんにちは!
早急なご返答ありがとうございます。
またまた、教えていただけたらありがたいです。
 
 初歩的な質問ですが3612Cはビット交換時、テーブル固定のまま下から締め付けできますか?

 リフトなしでテーブルトップからレンチ1本でビット交換できる機種はポーターとトリトンだけでしょうか?3612Cは物理的に不可能でしょうか?(95%はテーブル固定なのでビット交換、調整が優先度1位です。)
 
 今回は節約&既製品テーブル(穴径100mm)がすでにあるのでリフターとインサートプレートはあきらめます。自作する時の楽しみにします。

 大型ビット使用時の回転数って一般的にどのくらいなんでしょうね。(木材やビットの質によってさまざまでしょうが)ほとんどの製品使用には耐用(対応)回転数の表示が無いんですよね。低速使用というのはわかるんですが、程度範囲が経験でしかわからないでしょうね。

 インチコレットについては、まず本体購入先に問い合わせてみます。(それにしても1/2と1/4では値段に差がありますよね。)

 トランス、スピコンもとりあえずお預けにします。

 現時点ではマキタ優勢です。(使ったこと無いですがトリトンは好みでありません。家電でいうソニーみたいで。)

 宜しくお願いいたします。





yamamo2a さん 2006年 05月 23日 22時 22分 49秒
>>管理人@KAKU さん
>>amk さん
  こんばんは
 道具道楽さんにてマキタ3612C 注文しました。
コレットについて問い合わせたところホームページに追加掲載していただきました。送料500円と代引無料を考えると道具道楽さんでの一括購入が一番安かったです。
 ながく大事に使いたいと思います。ご相談いただきありがとうございました。

購入したもの(すべて税抜き)
■マキタ12mmルーター用コレットコーン 763622-4 (1/2インチ)12.7mm梁(34117) 2,125円
■マキタ12mmルーター用コレットスリーブ 763803-0 (1/4インチ)6.35m (34116) 467円
■マキタ3612C ビット付 (20855) 35,901円
■マキタトリマ用コレットコーン6.35mm 763608-8 314円





amk さん 2006年 05月 24日 01時 04分 33秒

>yamamo2aさん
お役に立てて幸いです
不要かもしれませんが、ご質問の件です

>3612Cはビット交換時、テーブル固定のまま下から締め付けできますか?
>テーブルトップからレンチ1本でビット交換できる機種・・・
3612Cはできません
国内で入手可能な物としては、私もポーターとトリトンしか知りません
もし海外機種にあったとしても、日本で馴染みがないメーカーだと私は対象外です

インチのコレットチャックですが、コレットナットも(ミリ・インチ共通 763629-0 定価\1,000)もあると交換が楽ですよ

ちなみに、テーブル上からの交換や楽なビット交換に限定するなら、エクステンションやツールレスと言うチャックを使用する方法もあります
エクステンション:根元が1/2軸、先端1/2チャックになっており、どの機種でもテーブル上からの交換が可能になります
ツールレス:ビット交換時に工具を必要としません(私の知る物は廃盤になりましたが)
海外には便利パーツが山ほどありますね

>3612Cはビット交換時、テーブル固定のまま下から締め付けできますか?

感違いしてました
3612Cはテーブル固定すれば下からしか締め付けできません
と言うか、テーブルに関係なく、そこからしか交換出来ませんよ





管理人@KAKU さん 2006年 05月 24日 11時 05分 36秒

>>yamamo2aさん
私のほうは、たいしたお答えができずお粗末さまでした。
道具道楽でインチコレット&スリーブが購入できるようになったというのは、ひとつ収穫ですね。
http://www.dogudoraku.com/catalog/product_info.php/products_id/13830/cPath/150_150110

>>amkさん
ルーターのご解説いただきありがとうございます。
毎度ながら、さすがですね。





yamamo2a さん 2006年 05月 24日 12時 22分 40秒

>>amk さん

>3612Cはビット交換時、テーブル固定のまま下から締め付けできますか?

言葉足らずの質問で申し訳ございません。
 要点は上から下からでははく、本体をテーブルにつけたままビットの差し替と締め付けができるかどうかだったのです。教えていただいたエクステンションをテーブル下で締め付けておけば上からビットの抜き差しが可能でビット自体の締め付けも上からできるということですね。
 本当に初歩的な質問でしたので誤解を招きすみません。

>コレットナットも(ミリ・インチ共通 763629-0 定価\1,000)
 情報ありがとうございます。ミリ・インチ共通コレットとエクステンションが欲しいのですが購入先情報お願いいたします。(なかなかみつけきれません)
 これまた初歩的な質問ですすみません。共通があるということは、本来はミリチャックにはミリ用ナットが、インチチャックにはインチ用ナットが必要ということでしょうか?
 
 質問が数珠繋ぎになってたいへん申し訳なく思います。宜しくお願いいたします。





amk さん 2006年 05月 24日 20時 29分 46秒

>yamamo2aさん
ネットでコレットナットを単体で売っている所はなさそうですね
あとは購入店に追加で頼むか、ホームセンターで取り寄せですね

ナットは厳密に言うと2種類存在しますが、一般的に買えるナットはこの品番だけです
インチとかミリに関係してくるパーツと思われがちなので、あえて共通と表現しました
チャックとナットはなかなか分離できず、かなり面倒な作業です
最近はネット販売店でもインチチャックを見かけるようになりましたが、なぜかチャックしか売っていない所が多いです

エクステンションについては訂正させてください
根元が1/2軸、先端1/4チャックでした
このあたりのパーツは海外にしかありませんし、すぐに探せたのは下記の物だけです(しかもけっこう高め)
http://www.rockler.com/product.cfm?page=11074





管理人@KAKU さん 2006年 05月 25日 06時 59分 37秒

>>yamamo2aさん
エクステンションがお手元になくても、ロックピンが付いていてますから、基本的にスパナ1本でビットの交換が可能ですので、ちょっと不自由かもしれませんが、テーブルの下からも手を入れられれば、まったく交換できないということではありません。(現にそうやって使っていた時期もありました。笑)

ついでにこのナットも道具道楽で購入できるように、お問い合わせされてみてはいかがでしょう。(さすれば便乗させていただきます……笑)





yamamo2a さん 2006年 05月 25日 14時 01分 45秒

>amk さん
>コレットナットを単体で売っている所はなさそうですね
あとは購入店に追加で頼むか、ホームセンターで取り寄せですね
チャックとナットはなかなか分離できず、かなり面倒な作業です

 とりあえずは、地道に分離、交換がんばってみます。

>最近はネット販売店でもインチチャックを見かけるようになりましたが、なぜかチャックしか売っていない所が多いです

 そうなんですよね。需要がすくないんでしょうかね。

>エクステンションについては訂正させてください
根元が1/2軸、先端1/4チャックでした
このあたりのパーツは海外にしかありませんし、すぐに探せたのは下記の物だけです(しかもけっこう高め)

 う〜ん。高いですね。手間と時間をお金で買うかどうかですが、まずは基本のノーマルでがんばってみます。(検索までしていただいて感謝しております。)
引き続き1/2チャック探してみます。

>管理人@KAKU さん
>テーブルの下からも手を入れられれば、まったく交換できないということではありません。

 まずはオーソドックスに使いこなしてからもろもろ実感したいと思います。

>ついでにこのナットも道具道楽で購入できるように、お問い合わせされてみてはいかがでしょう。(さすれば便乗させていただきます……笑)

 残念ながら「扱いはございません。取り寄せができるのは当店扱いメーカーのメーカーカタログ掲載アクセサリのみです。」との返答がありました。





管理人@KAKU さん 2006年 05月 26日 07時 50分 10秒

>>yamamo2aさん
コレットナットは、マキタの修理取り扱いをしている機械屋さんなら、部品の取り寄せをできると思います。
もしくは、マキタの支店などダイレクトに問い合わせてみれば、ご近所で取り扱っていただけるところをアナウンスしていただけるかもしれません。

アメリカだとこんな風に部品だけかえるんですね。
ここの部品番号は日本でも共通だと思います。
http://www.toolpartsdirect.com/cgi-bin/noframes.cgi/makita/3612

>エクステンションについて……
ここの写真を見ると、1/4inのコレットスリーブが附属しているので、通常は1/2in軸で使えるのではないでしょうか。(お値段が高いことはかわりませんが……。)
Router Technologies社 商品名:Xtreme Xtension
http://www.routertechnologies.com/extreme%20extension.htm

あと、このメーカーのハンドルがなかなか面白いです。
取り付けには本体への改造が少々必要なようですが……。
http://www.routertechnologies.com/routerraizer.htm





yamamo2a さん 2006年 05月 26日 15時 07分 55秒
>>管理人@KAKU さん
 ルーター&アクセサリがとどき、ひととおり触ってみました。まだ、削りにはいたってませんが。

>ナットについて
 コレットコーンの差し替えですがラジオペンチで奥の方をつかめば思ったより簡単に外れましたので、ナットは買わずにその都度交換しようと思います。それに各コーンには直にサイズをマジック記入したので外れてた方が確認がしやすと思って。(ナットにホワイトで書くという手もありますが。)

>エクステンションについて
 私も安いの探してみました。日本で扱いあればいいのですが。
http://www.ptreeusa.com/routerAcc.htm
http://www.mlcswoodworking.com/orderstatus/html/smarthtml/pages/routcollet.html
http://www.cheyennesales.com/catalog/collext.htm
https://ssl.cyberlaunch.net/sommerfeldtools/addtoorder.asp?col=1&part_num=796.001.00
http://www.mikestools.com/796-001-00-Cmt-Router-Collet-Extension.aspx
http://www.tooled-up.com/searchresultbasic.asp?SearchType=1&Keywords=puller+extensions&Referrer=SearchIndex

>ハンドルについて
 リフトみたいなものですかね。微調整には便利そうですね。これにプランジバーがあると最強ですね。





amk さん 2006年 05月 26日 20時 15分 11秒

>yamamo2a さん
エクステンションはよく考えたら 1/2 to 1/2 は構造的に長くなるので、あまり無いのかもしれません

3612C届いたのですね
ルーターはけっこう危ない機械ですから気をつけてください
安全対策として、
*小さいものは削らない
*惰性回転が止まるまで本体を離さない
*刃当たり具合のチェック時はコレットを触る
*ビット交換時は本体スイッチオフ&コンセント抜く
*ビット交換途中に他の事をしない(締め忘れ防止と言う意味)
これらは癖として身につけおいても損はありません


◆関連リンク
JoyLifeWorks - ハンディルーターの使い方(2)
http://green.ap.teacup.com/joylifeworks/71.html

2006年06月17日

スクレイパーについて

kinokoubou.comの掲示板への書込みをまとめてみました。




山野 さん 2006年 06月 04日 13時 41分 01秒
URL:http://www.yamanorg.com/

diary、6月3日に記述された、スクレーパー、スクレッパー、scraper……?に関するコメント。

日本の木工技術関係の書籍には、スクレイパーに関する使用説明は皆無と言える。「木工の手工具」(理工学社)に、奈良時代に使用された、こそぐ用工具があったとの記述がある。現代では木工には一般的に使用されていると思われる。宮本氏や他の作家による使用解説が参考になるだろう。欧米の技術書には普通に記述され、木工家には必修の習得技術となっている。

パソコン通信時代には時々、スクレイパーに関する話題があった。私は、鉋を使用するよりもスクレイパーを多く使用する。堅木には有効ではあるが軟材では役立たない。

20数年前、国内でこの工具を入手するのは困難であったが、今は普通にこの工具は購入出来る。以下の販売業者や、東急ハンズで販売されている。

http://www.off.co.jp/plsql/ocp_item_tools_search3?p_daibunruic=1&p_chubunruic=2





管理人@KAKU さん 2006年 06月 05日 12時 31分 20秒
>山野さん
スクレイパーへの情報ありがとうございます。
やはり、ドイツなど欧米の木工では、普通に当たり前の木工道具ということなんですね。

宮本氏のパソコン通信時代の記事のバックナンバーや鯛工房の葛城氏のチップ&トリックの記事でもその有用性をご解説くださって参考になります。
その頃から、皆さん結構日本でも普通に使われていらっしゃるのでしょうか。

今更概知なことですが、木工における広葉樹文化と針葉樹文化での仕上げ道具の発展の違いということなのだと思いますが、洋家具とその製法が日本に入ってきた時代には、この道具に関してはどのように取り上げ、解釈をされたのでしょう。(いつもの悪いクセで、好奇心で余談になってしまい申し訳ございません。)





山野 さん 2006年 06月 05日 19時 25分 24秒
URL:http://www.yamanorg.com/

>KAKU さん
私は国内で木工修行を全く行っていません。1980年末に帰国し、国内の木工関係者との交流はなく独自の製作活動をしておりました。1990年代になり、パソコン通信時代に宮本氏らとの交流の中で、国内の木工事情を聞き知る事が多くなりました。ですから、1980年以前の国内木工技術に関する知識は持ってはおりません。スクレーパーに関してはルクセンブルグで初めて、先輩家具職人から直接使用方法を教わりました。1973年に一時帰国した時に、国内で入手可能な工具を調べ、欧州から持ち帰らなければならない工具を少しずつ買い揃えました。その中に、スクレーパー、フォスナービット 、クランプ、洋鉋、ナイフ、スイス製彫刻刀などのがありました。逆に欧州の職人達には日本の鋸、砥石などを紹介したりしました。スクレーパーは国内で何時頃から普及し始めたのでしょうね。





管理人@KAKU さん 2006年 06月 06日 06時 50分 27秒

>山野さん
補足説明いただきありがとうございます。

宮本さんのパソ通時代の記事のバックナンバーを拝見いたしますと、あの当時、交流という意味では、かなり中身が濃かったようですね。
インターネットに舞台が移ってからは、どちらかというとwebサイトなど個々からの発信が多く、いろいろな情報を入手しやすくなった反面、チャット的な交流の場としての役割が薄れてきているような気がします。(すみません唐突に関係のないネット論になってしまいまして……。)
いろいろな方のお話をお伺いすると、80年代半ばから90年代にかけての、この頃が工房家具の聡明期のように思います。
各地で、外国から木工家を招いた研修を開かれていたり、パソ通が普及しはじめたり、それまでと比べ、かなり交流が盛んになったのではないでしょうか。
そういう時代を背景に、現在は極普通に使われているPONYに代表されるパイプクランプ等の海外の木工ツールが交流の中で広がりはじめ、その流れにスクレーパーも含まれるのではないかと、勝手に推測してみました。
スクレーパーというのは、多分、写真のワンカットを見ただけではなにをやっているのか意味がわからないと思いますので、実際に使い方、刃の付け方、切削原理を直接教わるか、少なくとも作業を動いている状態を見られる状況でようやく普及すると思いますと、そのあたりの時代背景が大きく関わるように思います。
タマクラフト、offコーポレーション等が、海外の工具を日本で販売し始める流れもそこに切っ掛けをみているとも思いますし……。

あくまで推測ですので、どなたかその頃のお詳しいお話をご存じの方がいらっしゃいましたら、どうぞお話をお聞かせください。

あと、例えば、松本民芸、横浜クラッシック家具、神戸クラッシック家具等の、日本における洋家具の発祥とされている現場の今昔では、どうなのでしょう。





artisan さん 2006年 06月 06日 07時 55分 15秒
URL:http://blog.artisan.boy.jp/

スクレーパーで賑わっていますね。私も使用頻度は低いものの時折出動願うことがあります。
2つのケースがあります。
1つは南京鉋の切削能力を超える小さなR部分の切削。2つには3次曲面の面取りの仕上げ切削の時などですね。
これが何を意味するかと云えば、日本には優れた鋼製造文化を背景とする鉋(台鉋)がありますので、スクレーパーのようなaboutな道具の発達はなかったと見ることが出来ます。

しかし近代に入り、洋家具の伝来以降、洋家具の製作職人とともに、このスクレーパーも導入されてきたのでしょう。
私の1人の親方は横浜の洋家具の職人だった人ですが、器用にスクレーパーを使います。
しかし皆さんが使われるSandvicのような既製のものではありません。帯ノコの1部(製材用の分厚いもの)をカットしたものが基本ですが、時には鉄ノコの刃をカットして使う時もありました。
さらにユニークなのは、ガラスを割って、その不定型な面の適合するところを探し、目的とする3次曲面の面取りに使用する、といったところに日本の洋家具の導入における自家薬籠中を見る思いでした。

最後に刃(エッジ)の付け方ですが、専用の工具もありますが、欧米の職人のやり方を見ますと、何でも良いのですが焼きの入った鋼があればできます(釘締め、など)





宮本 さん 2006年 06月 06日 10時 47分 52秒

スクレーパーの話題で出てまいりました(^^)。

刃のつけ方は、いろいろやりましたが、今はTageFrid氏の本にある方法とほとんど同じです。専用の道具は使わずに、ノミの裏の角を使います。
「完璧な直角を作って、まず水平にバリ(カエリ)を出し、次にそれを直角に折り曲げる感じ」です。私は手の力がそんなに強くないので、ノミの角など、接触面積が小さい方が、鋭いバリがでるように思います。「ヤスリだけで充分使える」という方もおられ、あまり真剣にバリを出すことを考える必要はないかもしれません。

 難しい木の仕上は、私のようなアマチュアに毛の生えたような者には、どうしても無理な場合があり、そんな時のお助けツールとして必須の道具になっています。





管理人@KAKU さん 2006年 06月 07日 08時 36分 11秒

>artisanさん(でよろしいですか……?)
こんにちは。
スクレーパーの情報ありがとうございます。
artisanさんも、実際にお使いになられることもあるのですね。
当然のこととお叱りを受けてしまうかもしれませんが、この話題でもこれだけの情報の引出しをお持ちでいらっしゃるとは、知識の奥深さは、やはり流石です。

>横浜の洋家具の職人だった人
やはり洋家具の流れの中で、日本でもお使いになられる職人さんがいらっしゃった訳ですね。
ちなみに、松本のほうでも、同じように使われているのでしょうか。


>宮本さん
ご参戦ありがとうございます。(笑)

前のほうで少しパソ通時代の記事を話題にさせていただきましたが、今においてネット上で検索される範囲ですが、スクレーパーについて詳しい解説と有用性が記述されているのは、鯛工房の葛城氏の記事と、あとは数える程なのですが、語るまでない程、普通に普及している木工道具ということなのか、それとも、about(笑)すぎて、日本人の感性に合わずに、未だ使てる人は使てる的なツールなのでしょうか。

極端な例えですが、カンナがあれば語るまでもない道具かといえば、実際に使ってみれば、ケースバイケースで活きる道具だと思いますので、逆に先入観を捨てて使ってみることでうまく作業は捗ったという自分のような例もありますし……。

今でこそ、これだけ木工の裾野が広がりつつある中であれば、お助けツールとしての出番は広がりそうだとも思います。

ただ、使い出はaboutな割に、見よう見まねだけで使うも難しい(一見ただの鉄板ではあるけども、その実はちゃんと刃返りという刃がついているというところ)、微妙な感どころのある面白い独特な道具だと思います。
(欧州の楽器製作の現場を放映したテレビ番組でスクレーパーを使っているのをみて、あの鉄板で何をしてるのかと思っていたという声も聞きます。)

もし、10年前の話題をぶり返しておりましたら申し訳ございません。





木工房オーツー:大江進 さん 2006年 06月 07日 09時 01分 07秒
URL:http://www.e-o-2.com/

私は本格的なスクレーパー使用の経験はありません。わりあい直線的またはシンプルなデザインが多いのと、硬木の使用頻度はそれほど高くないので、鉋で間に合います。ただたまに小物や椅子などで立体的な三次曲面が出てきたときは、ふだん使っているノミではない古いノミや、折損した鋸などで掻取り作業をすることはあります。
 スクレーパーやサンディングはミクロ的に滑らかな表面を作ることはできると思いますが、マクロの平滑面はやはり定規面が付いた刃物=鉋のほうが適しているのではないでしょうか。ただせっかく情報を得たので、これを機会に私もスクレーパーをいろいろ試したみようと思います。





管理人@KAKU さん 2006年 06月 08日 07時 38分 07秒

>大江さん
こんにちは。
勿論、台ガンナでできることは台ガンナでやるほうが合理的だと思います。スクレーパーは、台ガンナとは、別の用途の道具と考えていただいたほうが取っ付きやすいかもしれません。(って、スクレーパー初心者が云うのもなんですが……笑。)
刃返りの具合で、綺麗な削り屑で削れたり、粉みたいな木屑しかでなかったりするようですので、ものは試しで、もし機会があれば是非。





artisan さん 2006年 06月 08日 21時 13分 27秒

【あらためて「スクレーパー」使用状況について】
松本民藝家具の商品群は「李朝様式」「伝統的和家具」の他にも「欧米の伝統的家具に出自を持つ家具」というものも含まれます。いえ、実はこちらの方が多いと見て間違いないでしょう。ウィンザー様式の椅子を中心とするテーブル、キャビネット類です。
しかし私の知る限り、「欧米の伝統的家具に出自を持つ家具」制作においても「スクレーパー」は用いられることはないでしょう。松民の職人は皆、鉋(平鉋、南京鉋)を完璧に使いこなせるので「スクレーパー」のようなaboutな道具は不要です。
さて本来「スクレーパー」は平面の平滑仕上げ切削、曲面の成形切削、などに用いられるものと思いますが、平面の平滑仕上げ切削に用いるにはかなりの熟練した技が求められると思います。(ほとんど平滑切削にならずに局所的に抉られるような切削になってしまう)したがってせめて次のようなジグを用いることが平滑に仕上げるための前提になるかもしれません。
http://www.woodcraft.com/family.aspx?FamilyID=3225
http://www.woodcraft.com/family.aspx?FamilyID=3967
しかし日本では優れた伝統的な道具の台鉋というものがありますので、「スクレーパー」の熟練に励むよりも鉋の熟練に励む方が真っ当で、近道です。
その上で有用な使い方を考えると、3次曲面、不定型な面取り、あるいは南京鉋が掛からないような曲率の曲面などの切削にご登場願うということになるのではないでしょうか。
あるいは気乾比重が1.0に近い唐木など、鉋で切削することの困難な場合には有用です。(これも日本の鉋群に立鉋、というものもありますがね)
 このようなところで冗長になりましたこと、お詫びします。





山野 さん 2006年 06月 09日 00時 21分 55秒
URL:http://www.yamanorg.com/

スクレーパーの話しが続いてるので、もう少し書きましょう。国内の書籍中で記述を見た記憶があり探しましたら、「木工具・使用法」(秋岡芳夫監修)の最後の頁にありました。宮本氏が紹介された書籍 "Teaches Woodworking"(Tage Frid)にはDVD付属版があり、スクレーパーの仕立てや使用解説が見られます。ちょっと高価ですが、良い参考になります。昨年出版された「木工技術」シリーズ全6冊(Albert Jackson and David Day)、日本語に翻訳された書籍ですが、この中にはスクレーパーに関する事は何も書かれておりません。このドイツ語版には解説があるのですが、全く異なる編集になっています。"Handbuch der Holzbearbeitung"が書籍名です。スクレーパーはドイツ語で "Ziehklinge"と言いますが、一般の独和辞典には訳はありません。木工専門書にはこの単語はあります。"Ziehen"(引っ張る)と"Klinge"(刃)の合成語です。日本語訳「木工技術」の編集には不満があります。6冊に分冊され、重複する記述が多々あり、1冊税別3200円と非常に高価です。内容的には従来の木工技術書にはない、欧米の木工技術が多数紹介されていて、参考になるのですが(スクレーパーの記述なし)。

国内ではスクレーパーが軽んじられている様ですが、愛用者としはこの非常に有用な工具は手放せません。木理が複雑に交差したり、框構造で木目が直行している時、逆目、突板表面、湾曲面など、スクレーパーの出番は多いです。私は木工家はスクレーパーの習得は必須だと思います。





管理人@KAKU さん 2006年 06月 11日 11時 29分 45秒

>artisanさん
>山野さん
スクレーパーについての追加情報をいただきありがとうございます。
お陰さまで、今まで知らなかったことを沢山知ることができましたし、道具における役割というのを、あらためて考える機会になりました。

>スクレーパーは用いられることはないでしょう。
逆に松本のほうでは、使われていないという訳ですね。
松本民藝の場合、その成り立ちのベースとなっているのが日本の木工芸の技術であり、その技術的ベースのあるところに洋家具を落とし込んだということからも、確かにそれは十分理解できるものですね。

>鉋の熟練に励む方が真っ当で、近道です。
い、痛いところを……。(笑)
耳の痛いながら、またそれは、木工制作者として真摯に受け止め、向いあわなければならないお言葉だと思います。

それを十分前提と理解したうえで、
>私は木工家はスクレーパーの習得は必須だと思います。
という、またバックボーンが異なる木工制作者の先達のお言葉として、十分受け入れられるものだと感じています。

例えば古来からの道具に対する徹底したこだわりでなく、先入観や偏見、また知らないということで使われないのであるなら、それは勿体無い話だと思います。

ここでサンディングペーパーを引き合いに出すと、またかえって抉じれてしまうかもしれませんが、あえて言えば、荒目のペーパーに匹敵する切削力を持ちながら、切削表面の滑らかさから次の仕上工程への以降のしやすさというのも、この道具のメリットであるように思います。
単品制作で、専用の道具を誂えるまでもないまでもない局面(曲面と掛けたりして……つい悪いクセで申し訳ございません。)など、ケースバイケースで、スクレーパーという木工道具がひとつ工具箱に増えるというのが、単純かもしれませんが素直なのではないでしょうか。
(なんて、なんで勝手に話をまとめてるのよ……?)





さえ。。 さん 2006年 06月 12日 07時 30分 48秒

スクレーパーについて、わたしの所も先代は横浜洋家具の出なのですが、わたしが物心着いた頃にはクラシック物などは主力ではなくなっていた為か、使用している所も、スクレーパーその物も見たことは有りませんでした。

しかし、メラミン貼りの時などに、まだトリマーなどが普及する前にはノミの角や金鋸の刃の背などで仕上げたりしましたので、もしかするとスクレーパーの技法の名残だったのかも知れません。

天板などに、少し大きめのメラミン化粧版をゴム系糊で貼った後、ノミの刃の角の鋭利な部分で切りこんで(カッターナイフで数回切り込むように)ふかくキズがついた所で折り。端面を45度に取る時に、カンナで取る場合も有りますが、ノミの横の部分や金のこの背でシゴイて取ります。

現場作業などであまりゴミを出したくない時など、トリマーのように
ゴミを撒き散らす心配も無ければ、電源を引く必要も無いので重宝です。


……まとめここまで。

◆スクレイパーに関するリンク

工房通信 悠悠 | 鉋 vs スクレーパー
http://blog.artisan.boy.jp/?eid=511686
(その2)
http://blog.artisan.boy.jp/?eid=512396
(その3)
http://blog.artisan.boy.jp/?eid=512931
(その4)
http://blog.artisan.boy.jp/?eid=513541

The Woodchuck's workshop > 工具 > スクレイパー

家具制作鯛工房 > 家具制作資料室 > チップ&トリック > スクレパーの使い方

Ryohei's Woodworking > 木工講座100連載 > WWMおじさんの木工講座(80)スクレーパー

2006年06月16日

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